■スレッズが「避難先」に
ゼロからユーザーを集めたマストドンやブルースカイは利用者数の面でツイッターに太刀打ちできなかった。だが、スレッズはインスタグラムと連携するだけでアカウントを作れるため、登録のハードルがすこぶる低い。
「ツイッターの登録者数が全世界で約4億人なのに対し、インスタグラムは約10億人。今までのSNSとは全然話が違います」
さらに、ツイッターを買収したイーロン・マスク氏の“暴走”もスレッズの躍進に一役買った。ツイッターは「未認証アカウントは1日千ツイートしか閲覧できない」などの改革でユーザー離れが加速。河野太郎デジタル大臣もさっそくアカウントを開設し、「ツイッター使いにくくなった気がする」と投稿するなど、スレッズが避難先になっているようだ。
スレッズとツイッター。どちらかが淘汰されてしまうのか。
「どちらも並び立った場合、政治的立場でプラットフォームを使い分けるということも起こり得ます」
と重枝さんは分析する。どういうことか。
「ツイッターしかなかった頃は、異なる考えを持つ人もそこに居続けるしかできませんでした。でも、スレッズができたことによって、居心地のいいほうを選ぶこともできる」
懸念もある。
「同じ考えを持つ人ばかりが集まれば、極端な考えに突き進む集団極性化が起こりやすくなる。トランプ前大統領がつくったSNSが一つの例です」
ツイッター黎明期と同じく穏やかで、ゆるい雰囲気が漂うスレッズ。SNSの新たな覇者になるのか。(編集部・福井しほ)
※AERA 2023年7月24日号