イーロン・マスク氏は「競争は結構だが、不正はだめだ」とツイート。スレッズをリリースしたメタに対して訴訟を起こす可能性も報じられている(撮影/写真映像部・佐藤創紀)
イーロン・マスク氏は「競争は結構だが、不正はだめだ」とツイート。スレッズをリリースしたメタに対して訴訟を起こす可能性も報じられている(撮影/写真映像部・佐藤創紀)
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 日本時間7月6日、米メタが新たなSNSアプリ「スレッズ」をリリースした。ユーザー急増中の同サービス。ツイッターなど既存のSNSとの違いは何か。AERA 2023年7月24日号より紹介する。

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 十年一昔ともいわれるSNSの世界。これまでにもさまざまなサービスが生まれては消えていった。

 そんななか、わずか5日間で登録者数が1億人を突破したアプリがある。

「Threads(スレッズ)」。米メタが新たに生み出した短文投稿アプリで、リリースされて以来、登録者数は右肩上がりに急増。同社CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は、

「5日しか経っていないなんて信じられない」

 と興奮気味にスレッズに投稿した。

■メタにしかない利点

 2010年にリリースされ、現在はメタの傘下にあるインスタグラムが1億人を突破するまでには、30カ月を要した。さらに、最近では生成AI「ChatGPT」が2カ月で1億人を突破したことが取り沙汰されたが、それをはるかに上回るスピード感といえば、その勢いがわかるだろう。

 サービスの内容はいたってシンプル。文章や写真、動画を投稿する。それにコメントやいいねを付け合う。いわば「メタ版のツイッター」だ。

 これまでにも、「マストドン」やツイッターの創業者ジャック・ドーシー氏が手がける「ブルースカイ」などテキストでの投稿を主体としたSNSは存在した。だが、いずれもユーザー数は増えず、ツイッターの陰にひっそり隠れていた。

 このスレッズも真新しい特徴があるわけではない。なんなら、検索やハッシュタグ機能、音声配信など今時のSNSに欠かせない要素は未実装。なのに、急速にユーザーを増やしている。

「検索の有無や文字数の上限など、現段階だと細かな機能はどうでもいいんです」

 そう指摘するのは、ソーシャルメディア事業を手掛ける「ガイアックス」の重枝義樹さんだ。つい「ない」機能に目を向けてしまいがちだが、これらは些末なことだという。

「いずれは実装されるはず。それよりもユーザーにとってのメリットは、そこに行けば多くのコンテンツと出合えたり、つながりたい人とつながれるかということ。スレッズには、メタにしかないアドバンテージがあります」

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