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 わが家は全員が動物好きで、今まで飼った犬は数十匹を数える。中でもシャム猫のマロン(写真、雄、11歳)は、優等生という点で一、二を争う。
 子供が近くの航空公園で、やせ衰え、目がつぶれかかっている瀕死のマロンを拾ってきたが、すぐ病院に連れていき、事なきを得た。
 飼い猫かと思い、持ち主をいろいろ捜したが、とうとう見つからず、わが家に迎えた。
 全体が栗色っぽいのでマロンと名付けた。目がブルーで全体が薄茶。顔の一部としっぽや手足が焦げ茶で、なんとなく靴下をはいているようにも見える。
 シャム猫は猫の中でも賢いと書いている文献も多いようだが、マロンも例外ではなかった。
 壁を利用して人とピンポンをしたり、綿棒を投げると、まるで犬のようにそれを拾って持ってきたりするのはお手のものである。
 犬を散歩に連れていくとついてきて、先に行って待ち伏せし、犬が来たらワッと出て脅したりするひょうきんさも併せ持つ。
 また忠犬ハチ公よろしく、毎晩夜半に、主人を迎えるために門のところで蹲踞(そんきょ)の姿勢で待っているさまには、思わず「忠猫マロン」と呼びたくなる。
 あるとき、マロンが私の車を認識していると思われる出来事が起きた。
 待ち遠しくなったのだろうか、その日はマロンが家からかなり離れた所で待っていて、私の車を見つけると同時に走ってきて、車の1メートル前に立ちはだかってしまったのだ。さすがにこれには驚いた。
 マロンは拾ってから10年になるが、誰にでも愛想がよく、どっしりしていて近所の人気者である。彼の存在そのものが家族の癒やしであり、文字通りの猫っ可愛がりはまだまだ続きそうだ。

(高橋義一さん 埼玉県/63歳/会社員)

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