深く考える習慣は、どんな仕事にも生きてくる。大学院での研究を通して、情報収集とインプットを効率よくする能力も高まった。コンサルタントの仕事は短期間で新しい知識を大量に吸収しなければならないので、このことも役立っているという。
社会人になると自由な時間がなくなる。北川さんは、大学でもっと学びたいと思うことがあれば、大学院に行くことをすすめたいという。
立教大学キャリアセンターでは「外資コンサル対策セミナー」を開催している。就職先として学部生にも院生にもコンサルティング業界の人気が高まっているからだ。同センターの藤澤瞬さんは、文系修士で就職を希望する学生は、ほぼ就職できていると話す。
「企業からも、院生を不利に扱うという声は聞かれません。院生は研究内容を聞かれるので、専門外の人にも分かるようにとアドバイスしています。ただ大学院に入学するとすぐ就職活動も始まり、研究も並行して進めるのは大変だと思います」
■仕事で多忙ななかでも刑法の研究を続ける
関西大学大学院法学研究科の博士前期課程で刑法を専攻した鳥居也裟さんは、大学に入学したときから大学院に進むことを考えていた。大学院での研究はそれまでの学部のゼミとはまた違い難しいものだったという。
「主体的に研究を進め、教授や博士後期課程の学生の前でも自分の意見を発言する場をいただきました。知識が浅いと分かっていても、恐れずに発言できるようになりました」
2年間しかない大学院生活では研究を優先した結果、就活を始めたのは2年次に入る直前だった。志望していた企業から内定は得たものの、自分の進むべき方向性を改めて考えた結果、12月に就活をやり直し、19年4月、金融機関に就職した。
「大学のキャリアセンターではエントリーシートを見ていただいたり、面接の練習をしていただきました。家族や友達をはじめ多くの人にも相談をして、たくさんのヒントが得られました」(鳥居さん)