本に収録されている写真は、ryuchellさんの希望により、生まれ故郷の沖縄で撮影した。予算の都合上、移動はロケバスではなくタクシー、昼食はファストフードの〝貧乏ロケ〟だったが、嫌な顔一つしなかったという。写真は、ryuchellさんが一番気に入っていた一枚。撮影:喜瀨守昭

 悔しさ、悲しさ、寂しさ、戸惑い、そのすべてがないまぜになった顔をして、20秒ほど遠くを見つめた松尾さん。最後に、静かに口を開いた。

「今の時代って、自分の論を相手に押しつけたり、誰かを敵とみなして排除したりする流れが加速していますよね。だからこそ、自分と違うものも認め、受け入れようとするryuchellさんの言葉は貴重だった。これから、もっともっと必要とされるはずでした」

 27歳という短すぎる生涯を通じて、ryuchellさんが残したのは、自分と他者を愛するための言葉だった。きっとそれは、人々の心の中で何度も思い出され、咀嚼され、「こんな世の中」で生き続ける。

(AERA dot.編集部・大谷百合絵) 

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