仲睦まじいpecoさん(左)とryuchellさん(撮影/写真映像部・松永卓也)
仲睦まじいpecoさん(左)とryuchellさん(撮影/写真映像部・松永卓也)

 人気タレントのryuchellさんが12日亡くなった。27歳だった。ryuchellさんはパートナーのpecoさん(26)とともにAERA dot.で「peco & ryuchellの子育て日記 新しい家族のかたち」を連載していた。

【幸せそうな表情で見つめ合うryuchellさんとpecoさん】

 pecoさんは13日、自身のインスタグラムを更新し、「りゅうちぇると出会ってから今日まで、その時その時のかたちで、この先一生かけても足りないくらいの愛をもらいました」などと、自らの気持ちを明らかにした。

 ryuchellさんとpecoさんは2016年12月に結婚、18年には男の子が生まれた。しかし昨年8月、ryuchellさんの性自認の悩みを理由に婚姻解消を発表。それと同時に、「新しい家族のかたち」を選び、引き続き子どもと3人の生活を送るとしていた。

 しかし、その直後からSNSなどではryuchellさんに対し「pecoさんがかわいそう」「pecoさんに育児を押し付けるな」などと根拠のない誹謗中傷が相次いだ。

 その間、pecoさんはryuchellさんに対して感謝の言葉を述べ、2人の決意を繰り返し説明していた。pecoさんのこれまでの言葉を紡ぎながら、2人がどんな家族を目指していたのかを考えたい。

*  *  *

 ryuchellさんは今年に入り、自身2度目となるアルバムをリリースし、全国ツアーを実施することを公表した。容姿が女性らしく変わっていく中で、SNSでは<かわいい>と評価する声が多数あった一方で、<自分がやりたいことをやって、育児を放棄している><pecoさんがかわいそう>などという批判の声も殺到していた。

 今年2月、連載を担当する筆者はpecoさんへの同情論について、pecoさん本人はどう思っているのか、率直に聞いてみた。

 pecoさんは一呼吸を置いて、「優しい言葉をもらえることに、本当に感謝している」と前置きしながらも、徐々に“同情”に対する反論に熱が入った。

「私に優しいお言葉をいただくと同時に、ryuchellを批判している声を聞くと、私は悲しい気持ちになります」

「確かに受け止めるべき厳しい声はありますが、全部が全部そうだとは思っていません。家族の人がそういわれるのは、うれしくありません」

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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「お願いされて一緒にいるわけではない」