
ryuchellさんに対しては「子どもがかわいそう」などといった批判の声も届いていた。しかし、新しい家族のかたちについて、4歳(当時)の息子も受け入れる様子を見せていた。婚姻解消後のインタビューでpecoさんはこう語っていた。
「(息子には)ウソ偽りなく、わかりやすく伝えました。お家に『いろいろ いろんな かぞくの ほん』という絵本があって、それがママとママがいるお家とか、パパだけのお家とか、おじいちゃんとおばあちゃんが親代わりのお家とかいろんな家族が載っているんですが、それを見ながら説明しました」
「『男の子だけど男の子を好きな人がいることについてどう思う?』と聞いたら、『ぼくはハッピーだよ』って言ってくれて。100%わかっていないにしろ、4歳なので『ちょっと変だよ』とか言われてもおかしくないと思っていたけど、そう言ってくれたことはすごくうれしかった。そこで『ダダ(パパ)はそういう人なんだよ』という話をして、『だけど、何より私たちが伝えたいのは、あなたは紛れもなく愛し合ってできた子なんだよ』ということも伝えました」
「その日の夜に息子が、私と2人のときに、何の前触れもなく、『僕はママのことを大切にしているよ』と言ってくれて。息子にはりゅうちぇるとの話がまとまるまで気づかれないようにと日々過ごしてきたけど、どこかで気づいていたのだろうなと思う。『これからも3人は変わらないよ』ということをちゃんとわかってくれたんだなと感じました」
ryuchellさんはこのとき、こんな覚悟を語っていた。
「正直、この話はいま話したから終わりではなく、ずっと話さないといけないと考えています。4歳なので、まだ世の中をわかっていないところが多いです。『ハッピー』という心が4歳のときにあることはすごくうれしいことだけど、どんどん考えや環境は変わっていくだろうし。その都度その都度、息子と向き合って話合わなければいけないと思っています」
ryuchellさんとpecoさんは新しい家族のかたちを日々積み重ねている最中だった。だからこそ、「なぜ」という思いがぬぐえない。筆者はいまだにryuchellさんの死を受け入れることができない。
(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)
※厚生労働省は悩みを抱えている人に対して、主に以下の相談窓口などの利用を呼びかけています。
・#いのちSOS(電話相談)
https://www.lifelink.or.jp/inochisos/
・チャイルドライン(電話相談)
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・生きづらびっと(SNS 相談)
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