と同時に、なんだか救われた気がしました。

「がんばらなきゃいけない」「弟のようにならなければいけない」という呪いから、急に解放された気分になったのです。

■勉強の「ハック」は、誰にでもできる

 このときに気づいたのが、「努力ができる」というのは、成功のために絶対に必要な条件ではない、ということです。

 もちろん「努力ができる人」ならば、有利です。しかし、「努力できない」のであれば、それはそれで仕方ない。

 他の方法で、「努力」の代替をしてもらえばいいのです。

 この代替手段こそが「ハック(効率を高めるためのコツ・ノウハウ)」の正体であり、ぼくが「戦略」と呼んでいるものです。

 人間には誰しも「向き・不向き」があります。

「努力できない」ことは、単に、その人が努力に不向きな性質を持っているだけのことです。それは、持久走の得意・不得意とほとんど変わりません。

 たとえば、長距離走で1位の人とビリの人を比較した場合、ビリの人は持久走に不向きな性質を持っているわけです。

 そうだとしたら、ビリの人が長距離走で1位になったり完走したりすることを目指すよりも、持久走とは別のジャンルで、自分の得意分野を伸ばした方がよっぽど良いのではないでしょうか。

 これは勉強にだって、仕事にだって当てはまります。

 ぼくは恥ずかしながら「勉強」や「仕事」をがんばることが苦手です。

 逆に自分がそれらのことを苦手だと分かっているからこそ、「苦しい努力」をしないようにしているのです。

■結果を出すには、再現可能なマニュアルがある

 努力の才能がなくても、努力するのと同じぐらい成果を出すことはできます。

 むしろ必要になってくるのは、「技術」です。

 たとえば、目標から逆算して、最短距離でゴールまでたどり着けるようにするための戦略。自分に必要な課題を見極めるための解像度の上げ方。

 他人の知恵を借りながら、自分が行う必要がない勉強を外注化する技術。習慣化して無理なく継続する技術。技術を身につければ、気合や根性などに頼らなくても、よい成果を出すことができます。

 自分としては努力しているつもりはないのに、気づいたら努力したのと同じ成果を得ている。

「努力して」歩かなくても、電車に乗れば会社に着くのと同じようなことです。

「才能がなくても、誰でもできる!」みたいな実用書をよく見かけますが、成果を出すためにもそういう方法論があります。

 つまり、努力をせずとも成果を出せる「マニュアル」があるのです。

●岡 健作(おか・けんさく)
 スタディーハッカー 代表取締役社長
 1977年生まれ、福岡出身。同志社大学(文学部英文学科)在籍中から英語教育に関わる。大手学習塾の講師・教室長を経て、2010年に京都で恵学社(現:スタディーハッカー)を創業。“Study Smart”(学びをもっと合理的でクールなものに)をコンセプトに、第二言語習得研究(SLA:Second Language Acquisition)などの科学的な知見を実際的な学びの場に落とし込んだ予備校を立ち上げる。予備校で培った英語指導ノウハウを活かした社会人向けの英語のパーソナルジムENGLISH COMPANYを2015年に設立。その他、学びやスキルアップにまつわるアプリ開発なども行っている。著書に『TOEIC(R)テスト科学的攻略法』(秀和システム)『逆転合格を実現する 医学部受験×パーソナルトレーナ』(幻冬舎新書)などがある。

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