まるで鳥になって海の上を飛んでるみたい――。韓国・釜山西部の松島(ソンド)海水浴場で乗った「松島海上ケーブルカー」で、そんな気分を味わった。ケーブルカーという名前だが、日本で言うところのロープウエー。湾を横切るように作られていて、1.62キロを10分間かけて渡る。
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床が透明のコンパートメント「クリスタルクルーズ」に乗り込むと、すべるように出発。海面からの高さは最大で86メートルと、マンションなら30階に近い。鳥の目で眺めたこの日の海は穏やかで、高さを意識することはなかったが、陸に近づくと人影は指でつまめそうなほど小さかった。
「釜山(プサン)」と聞いて、どんなイメージを抱くだろうか。人気のソウルに比べると少し影が薄いが、アジアの物流の拠点「釜山港」を擁する韓国第二の都市で、趣の異なるビーチが7つもあるリゾート地でもある。アジアを代表する映画祭「釜山国際映画祭」でも知られるこの街が、コロナ禍を経て大きく進化を遂げていた。
「&TRAVELソウル」編集部は6月末、韓国観光公社主催の視察旅行に参加して、釜山と釜山に隣接する古都・慶州(キョンジュ)を取材した。海の上を散歩できるロープウエーや近未来都市のような顔を見せる新たなランドマーク、1000年の時を超える「映え」スポットなど、釜山と慶州の最新事情をリポートしたい。まずは、「海上散歩」を楽しめる釜山の二大ビーチから。
冒頭の松島海水浴場は、1913年にオープンした韓国第1号の海水浴場。「東洋のナポリ」とも呼ばれていた場所だ。1960~70年代をピークに客足が衰えていたが、再整備が行われ、2017年に29年ぶり(!)に「松島海上ケーブルカー」の運行を再開したところ、かつてを上回る人気スポットに。いまでは年間500万人以上の観光客が訪れるまでに「復活」した。
人気なのはケーブルカーだけではない。海に突き出す遊歩道「松島スカイウォーク」も「雲(クルム)の散策路」と呼ばれる絶景スポット。晴れていればたっぷりの日差しを浴びながら、少しだけ緑がかった青い海の上を、優しく打ち付ける白い波やビーチに点在する色とりどりのパラソル、沖に浮かぶ大型船舶を眺めながら歩くことができる。