安倍晋三元首相
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 安倍晋三元首相が亡くなってから、今月8日で1年が経つ。2月8日に刊行された『安倍晋三 回顧録』は発売当初から話題を呼び、27万部(7月6日現在、電子書籍版含む)のヒットを記録している。また、6月には元NHK政治部の記者で20年以上安倍氏を取材したジャーナリストの岩田明子氏も評伝『安倍晋三実録』を出すなど、1周忌に合わせて新たな関連本も出版されている。

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 政治を扱った書籍の棚にこういった安倍氏に関連する書籍をまとめたコーナーを展開する書店も多い。都内の大手書店の担当者はこう話す。

「襲撃事件以降、出版物が増えてきたこともあって、常時、安倍さんの関連本をまとめて並べています。いまは1周忌が近づいてきたため、本の表紙が見えるように面陳する商品を多くしています」

 事件直後は発生前に発売していた書籍にも動きがあり、最近は落ち着いていたが、岩田氏の新刊が出た6月下旬ごろからまた棚に動きが出始めたという。中でも売れているのが、『回顧録』だという。

「ダントツで売れています。発売直後は1日に何十冊と売れ、品切れ状態が続きました。お客様からのお問い合わせも多数ありました。他の政治家の書籍は、男性が購入する割合が高いですが、本書は女性も多い印象があります。特定の属性のお客様というわけではないですね」       

『回顧録』は、憲政史上最長となった政権の舞台裏などを安倍氏自らが語った書籍だ。取次大手トーハンが発表した今年3月期の月間ベストセラー<総合>で1位を獲得している。また、生前の取材を基にした評伝である岩田氏の『安倍晋三実録』と、同じく6月に発売されたジャーナリストの櫻井よしこ氏の『安倍晋三が生きた日本史』もAmazonのカテゴリ別のランキングでそれぞれ1位を獲得している(7月6日19時閲覧時点)。『回顧録』に対しては、ネット上には「一国の総理として何を感じ、考え、決断し、行動してきたかが赤裸々に語られている歴史の証人ともなる独白録」や「安倍晋三を美化する本でしらけました」など、様々な感想が並んでいる。

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唐澤俊介

唐澤俊介

1994年、群馬県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。朝日新聞盛岡総局、「週刊朝日」を経て、「AERAdot.」編集部に。二児の父。仕事に育児にとせわしく過ごしています。政治、経済、IT(AIなど)、スポーツ、芸能など、雑多に取材しています。写真は妻が作ってくれたゴリラストラップ。

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