佐藤亮子(さとう・りょうこ)/津田塾大学卒業後、高校で英語教師として2年間教壇に。3男1女を東大理・に進学させた。『親がやるべき 受験サポート』(共著)など著書多数
佐藤亮子(さとう・りょうこ)/津田塾大学卒業後、高校で英語教師として2年間教壇に。3男1女を東大理・に進学させた。『親がやるべき 受験サポート』(共著)など著書多数
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 ChatGPT(チャットGPT)を学習ツールとして活用することをめぐり、賛否両論の議論が巻き起こっている。ChatGPTとどう向き合えばいいのか。子ども4人全員を東大理IIIに進学させた佐藤ママこと佐藤亮子さんに聞いた。AERA 2023年7月10日号の記事を紹介する。

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 私たちは、これまでもGoogle検索などのAIを使いながら日々を送ってきました。ChatGPTの登場で、少しフェーズが変わったことを感じてはいますが、右往左往するほどのことでしょうか。

 例えば、読書感想文。生成AIを使う是非が議論されていますが、随分前からGoogleで課題図書を検索すれば、要点や模範感想文がずらっと出てくるようになっていました。そもそも自分でやったとしても年1回、夏休みに書くだけでは能力なんてつきません。

 ChatGPTが医師国家試験を受けたら、正答率82.8%で合格ラインを超えたことも話題になりました。私から言わせると「100%取りなさいよ」(笑)。対話型で、それらしい答えを出しますが、結局は入力された情報をコピペする機械でしかないのです。

 最近の大学入試では、論文形式で解答する問題が増えつつあります。伝えたいことを的確に書く練習をChatGPTに手助けしてもらうことはできると思います。文章を要約するツールとしても活用できるでしょう。ただ、子供たちはそれ以外の使い方は避けた方がいい。まだ知識がないため、出てきた回答を正しく判断できないからです。少なくとも12歳くらいまでは使用制限が必要でしょう。

 大学や試験に合格しても、大事なのは、その後です。自分の中身を作る思考力は、読み、書き、計算という基礎学力が下支えしています。生成AIから学ぼうとしたり、信じすぎたりすることなく、便利に使いながら、今まで通りに丁寧に勉強することに変わりはないと感じています。

(編集部・古田真梨子)

AERA 2023年7月10日号

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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