「公文書館や資料館などに出かけて、たとえば自分の仕事に関連する記録を閲覧してみるといいでしょう。自分がアーカイブズの利用者になることで、それが重要であると実感できるはずです」
日本は欧米やアジア諸国に比べてアーカイブズへの取り組みが遅れているという。
「世界のどの国も公文書に関するスキャンダルがきっかけで文書管理が課題になり、アーカイブズが充実します。近年では、公的機関はもちろん民間企業などでも優秀な人材を求めており、本専攻の大学院教育が注目されています」
アーカイブズは国や社会の現在と未来を支える基礎となる。そのための専門職としてアーキビストは重要な記録を保存し、後の世まで伝えて利用できるようにし、記録活動をサポートする役割を担う。これから活躍の場はなお一層広がろうとしている。
【プロフィール】
保坂裕興 教授(ほさか・ひろおき)
学習院大学文学部 大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻
1985年学習院大学文学部史学科を卒業。89年同大学院人文科学研究科博士前期課程(史学専攻)を修了し学習院大学史料館助手に。94年駿河台大学文化情報学部専任講師、98年同助教授、2005年同教授。08年から学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻教授(現職)。主な研究テーマはアーキビスト教育論。14年から20年まで内閣府公文書管理委員会委員。20年から日本アーカイブズ学会会長。23年から文部科学省技術参与(ユネスコ「世界の記憶」)。