入学するとすぐに「リーダーシップ・ウェルカム・プロジェクト」が始まり、秋学期にある「人材開発・組織開発論2」の授業ではグループごとにクライアントに対して改善計画を提案する。そして2年次の「リーダーシップ・ファイナル・プロジェクト」では、一人ひとりが個別にクライアントを見つけてきてプレゼンテーションを行う。契約を結ぶためにはクライアントに課題解決の効果があると納得してもらわなければならず、契約しなければプロジェクト研究が進まない。

「修士論文の代わりの実証研究で、もちろんいい結果を出すことをめざします。もしそうならなくても文章で報告し、教員の前で発表して認められる必要があります。実践的なプロジェクトに始まりプロジェクトに終わる2年間で鍛えられます」と山口教授は語る。

 また共感が得られなければリーダーシップは発揮できない。そのためにエビデンスベースの説明で納得してもらうことも大事だ。山口教授が担当する必修科目のデータアナリティクス演習は、そのようなエビデンスベースの手法を修得する科目の一つだ。

「最初は野球やサッカーのデータを使い、データの取り方や調査票の設計を学び、続いて人材開発に関わる大規模なデータを扱います。こうした経験を積むことで、自らがリーダーシップを発揮できるし、組織のメンバーにリーダーシップを発揮するスキルを伝えられます」

 修了後にリーダーシップ・ファイナル・プロジェクトのクライアントだった企業に入社したり、2年間の在学中に早くも転職する例もある。また、修了生たちは「エンドレスプロジェクト」と名づけた修了後1年間の活動を報告する会を開いている。リーダーシップ開発の学びはこうして在学中だけでなく修了後も続き、それぞれが所属する組織で生かされていく。

【プロフィール】

山口和範 教授(やまぐち・かずのり)

立教大学 経営学部長 経営学部経営学科教授 大学院経営学研究科委員長

1985年九州大学理学部数学科を卒業。90年同大学院総合理工学研究科情報システム学専攻博士後期課程単位取得後退学。91年理学博士(九州大学)。92年立教大学社会学部産業関係学科助教授、99年同教授に就任。2006年から同大学経営学部経営学科および同大学院経営学研究科経営学専攻教授(現職)。データ分析のための統計解析手法の開発・評価が主な研究テーマで、統計ソフトウェアの比較研究、統計計算アルゴリズムの研究も行う。

(取材・文 福永一彦)

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