次の衆院選をめぐり、自民党の麻生太郎副総裁の地元、福岡県が大きく揺れている。いくつかの選挙区で、保守分裂となる可能性があるのだ。背後に見え隠れするのは、麻生氏に替わって福岡の“ドン”を狙う武田良太元総務相の影だ。因縁の「麻生vs武田」の最後?の戦いが勃発する。
6月27日、自民党の福岡県連は、支部長が不在の福岡9区の候補予定者となる支部長の書類審査を行い、参院議員の大家敏志氏(55)と北九州市議の三原朝利氏(45)の2人が通過した。
これに先立ち、大家氏は25日、政治資金パーティーを開き、参加者約700人を前に、
「福岡9区から、北九州から日本をリードできるなら、私はチャレンジしたい」
との考えを改めて伝えた。
麻生派に所属する大家氏は、麻生氏に相談したときのことにも触れ、
「『参議院でもいいじゃねぇか』と(言われました)。物まねじゃありませんが」
と麻生氏がくら替えに難色を示したことも明かした。
この日は大家氏がセミナー講師として、鈴木俊一財務相を招いていたが、急きょ欠席となった。
大家氏は自身のホームページで、「急なご都合により東京を離れられなくなりましたために、ビデオメッセージにて、ご挨拶を頂きました」などと書いたが、麻生派の国会議員は、
「麻生氏の義弟にあたる鈴木氏が、大家氏がくら替えを宣言するパーティーにのこのこ行くわけがない。大家氏を見放すという意味のドタキャンだ」
と冷めた見方だ。
大家氏が“親分”でもある麻生氏と異なる方針を掲げるのは、今回が初めてではない。
今年2月の北九州市長選では、自民党が推薦した元国交官僚の候補者を先頭に立って支援したのが大家氏。
一方、当選した元厚労官僚の武内和久氏については、麻生氏が推していたというのがおおかたの見方だ。表立っての動きは見せなかったものの、相乗り候補に推薦を出す党本部の決裁文書に署名しなかった。