「福岡県連は麻生先生が中心でにらみを利かしており、その息がかかった県議や市議が幹部です。二郎氏は2022年の久留米市長選でも県連が推した候補ではない人物を支援し、麻生氏や県連とさらに溝が深まってしまいました。おまけに世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と親密な関係であることもわかってしまい、名門鳩山家の御曹司ではありますが、地元では『冷たい視線』も注がれています。それもあってか、麻生先生が新しい候補を出すとの情報が流れています。有力候補の一人は、県連幹部の息子さんで今は、麻生先生の秘書でもあります」
自民党の久留米市議がそう説明する。
福岡6区は、「麻生vs武田、鳩山」という構図が見えてきそうなのだ。
さらに福岡4区でも、自民党の現職の宮内秀樹氏に対し、自民党県議の吉松源昭氏が立候補する意向を示しており、公認の「差し替え」を訴えている。無所属での出馬も辞さないとの構えだという。
これまで自民党では「現職優先」が原則となっており、宮内氏は強く反発している。
「宮内氏は二階派で、武田氏が福岡県連会長の時に擁立した側近です。そこに麻生氏側が割って入り、吉松氏を推すという格好です。麻生氏が武田氏を切り崩そうとしているのです。すでに麻生氏側は地元の自民党支部などに手をまわして、吉松氏支援を求めています」(自民党の福岡県議)
なぜ、麻生氏はここぞとばかりに「攻め」に打って出るのか。
麻生派の国会議員は、
「麻生先生も年齢的に、そう何度も選挙はできないでしょう。武田氏をここでたたきのめしておきたい、福岡を渡したくないという気持ちでしょうか。なんとしても『麻生王国』をという思いが強いようです」
と話す。
総選挙となれば、福岡の地元議員にとっても、あちこちで分裂選挙になる。
前出の自民党の福岡県議がこう話す。
「麻生先生が最後の勝負に乗り出したのかな。衆院選は大荒れですね」
(AERA dot.編集部 今西憲之)