市川猿之助容疑者
市川猿之助容疑者
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 27日、歌舞伎俳優の市川猿之助容疑者(47)が母親の延子さん(75)の自殺を手助けしたとして、自殺ほう助の疑いで逮捕された。同日午前、入院していた都内の病院から警視庁目黒署に警察車両で移送されたが、その姿は徹底的に隠され、表情をうかがい知ることはできなかった。衝撃の逮捕に、歌舞伎関係者からも厳しい声が上がった。

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 午前9時前、目黒署前にはおよそ70~80人の報道陣が詰めかけていた。その物々しい雰囲気に、通行人は驚いた表情を浮かべ、向かいのマンションの住人は何事かとベランダに出て様子をうかがっていた。

 9時半ごろにはパラパラと雨が降り出し、カメラクルーたちは「最悪だ」「やばいな」などとこぼしながら、大慌てで、機材にビニールのカバーをつけていた。

 10時を過ぎると、報道のヘリコプターが上空を旋回し、警察署前の歩道には10人弱の警察官が待機しはじめた。そして10時20分過ぎ、山手通りにシルバーのエルグランドが現れると、報道陣から一斉にフラッシュがたかれた。職員の誘導のもと、車はゆっくりと左折して署に入ったが、猿之助容疑者が乗っていると思われる後部座席は、前後左右をカーテンで覆われ、中の様子はまったく見えない。そのまま門を通過すると、車は敷地内に設置された白いテントの中に入っていき、テントの幕が下ろされた。捜査関係者が時折、幕をめくって中をのぞく。しかし、テントから署の出入り口の間はブルーシートで覆われており、猿之助容疑者が車を降りて署に入ったのかどうかも分からなかった。

 まさに「完全防備」の移送の末、10時29分、猿之助容疑者は逮捕された。

 この逮捕に、歌舞伎界の関係者も驚きを隠さない。演芸評論家の山本健一氏は「これはアウト。猿之助はもう舞台には出られない」と言い、こう続ける。

「逮捕前、松竹関係者は“演出”や“企画”などで、彼の才能をこれからも生かす場を作りたいと言っていた。しかし、逮捕となると再起は厳しい。自殺とはいえ、人の死に絡んでしまったわけですから」

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「人が死んでいるのだから実刑もありうる」