朝まだ暗いうちから開場を待つ出席者たち=尾藤さん提供
朝まだ暗いうちから開場を待つ出席者たち=尾藤さん提供

 「バフェット氏は株主を身内のように考え、とくに個人投資家に対する仲間意識は強い。株主平等を徹底し、特定の株主とだけ会うようなこともしません。もちろん株主にとっても、バフェット氏の声を直接聞ける貴重な場です」(同)

 バフェット氏は今回、米利上げが響いて破綻した中堅銀行の経営姿勢についてや、預金の全額保護に踏み切った当局に対する見解、さらには日本の総合商社株を買い増しした理由、半導体受託製造大手「台湾積体電路製造(TSMC)」株売却の背景などを語ったという。

 ほかにも「日本への投資は終わったわけではなく、これからも投資機会を探る」「多くの人が短期的な視点でしか物事を見ず、パニックになったりバカなことをしたりするから依然(安くていい株を買える)チャンスはある」といった具合に、発言がおよんだテーマは幅広い。

 バフェット氏のこれまでの発言や行動からは、投資で成功するための多くのヒントが得られるはずだ。尾藤さんに読み解いてもらうと、次のような言葉が代表的という。

▽「株式投資は雪だるまのようなものだ。大事なことは、くっつきやすい雪と本当に長い坂を見つけることだ」

 バフェット氏は長期投資を重視する。長く持ち続けると運用で得られた配当を再投資し、元本に加えることによってさらに大きな収益が得られる「複利効果」が期待できるからだ。その際、収益性が高く、10年、20年にわたって成長し続ける会社(くっつきやすい雪)をいかに見つけ、長く持つか(長い坂)が重要。長く転がすほど、雪だるま(リターン)も大きく膨らむ。

 尾藤さんがバークシャーの年次報告書をもとに1965~2022年の投資実績を分析したところ、同社の投資利回りの平均は年19.8%に上った。さらに注目すべきは、この期間の資産増加額は後半29年の間によるものが前半29年のそれをはるかに上回っていることだという。「雪だるま効果」は、ときが経つほど大きくなる。

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