工藤夕貴(撮影/写真映像部・東川哲也)
工藤夕貴(撮影/写真映像部・東川哲也)

――工藤さんは日ごろSNSなどで、周囲の人や動物、自然への愛にあふれた言葉を発信されています。今作で向き合った母性と、ご自身の内にたたえている愛は、共通するものがありますか?

 愛情の深さという意味では共通するかもしれないです。子どものころ、家族愛に飢えていたから、それがつながっているのかな。

 私、家庭環境が大変だったんですよ。父親はお酒を飲んで手を上げることもあったし、母親は家を出ていかなければならなくなって。お手伝いさんたちが自分の世話をしてくれたんですけど、結局周りにいる人はみんな他人で肉親じゃないから、私の良さを見つけて育てようとするんじゃなくて、なんでこの子はこれができないんだろうって、私の悪さばっかりを取り上げるところがあって。だから、人の期待に応えられない自分がふがいなくて、自己を否定する気持ちがすごく強くなりました。

 小学生のころの日記には、「私はそこらへんに落ちている石よりも価値がない」とか「私みたいなのは死んでしまえばいいのに」とか、自分の命を軽んじるような言葉をいっぱい書いてましたね。いつも生と死について書いていた気がします。

 6年生のときには、小学校の屋上に行って、フェンスを乗り越えたくなったこともありました。だけど私、どこか楽天家なところがあって(笑)。その日はたまたま土曜日で、ザ・ドリフターズの「8時だョ!全員集合」(TBS系)の日だったんです。それで、やっぱりドリフを見てからにしようって思いとどまった。ちょっと笑っちゃいますよね。でも人間ってそういうものだと思うんですよ。なんかちょっと引っかかることで、死ぬのは別に今じゃなくてもいいんじゃないか、みたいな。本当に、あのとき思い直してよかったと思います。

 ドリフに命を救ってもらったこともあって、私、実はコメディエンヌになりたいんですよ。誰かを元気づけられるような、めちゃくちゃコミカルな役をやるためにずっと女優を続けているんですけど、映画「ミステリー・トレイン」とドラマ「子供、ほしいね」(フジテレビ系)、「着飾る恋には理由があって」(TBS系)以外に、あまりやらせてもらったことがないんですよね(笑)。

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?
次のページ
デビュー後は「欲の塊」になった