「世耕氏と鶴保氏は同じ参院議員で、ともに5期とライバルです。世耕氏は、鶴保氏が先に衆院にくら替えするのをなんとか止めたかった。そこで世耕氏は、『鶴保氏は参院選で当選したばかり』として、補選には門博文前衆院議員を推し、鶴保氏のくら替えを阻止した。二階氏は当然、鶴保氏でいく、と考えていたので、両者の水面下での対立は激しいものでした」(前出の自民党・和歌山県議)
選挙期間中、門氏の選挙事務所近くでは、二階氏に近い県議と、世耕氏と親しい後援者が怒鳴りあう姿も目撃された。
だが、門氏は維新の林佑美氏に完敗という結果に。当選した林氏は、昨夏の和歌山市議補選で初当選したばかりの新顔。投開票前は、衆院議員を3期務めた門氏が優勢とされていた。岸田首相も選挙期間中、爆発事件があったにもかかわらず2度も和歌山入りした。それでも勝てなかったことで、世耕氏のメンツは丸つぶれになったという。
二階氏VS世耕氏の構図は衆院補選だけでなく、昨年11月の県知事選の候補者選びでも同様だった。
国民民主党の衆院議員だった岸本周平氏を二階氏が支持すると、世耕氏は対抗して県出身の現職官僚でまとめる寸前までいっていた。
しかし土壇場で二階氏がひっくり返した。
前出の自民党の和歌山県議が話す。
「まさに二階先生マジックで、首長は岸本氏、という流れを作り上げ、世耕氏が推した現職官僚は断念せざるを得なかった」
そして、注目された今回の新1区、新2区の公認候補選び。
知事選、衆院補選と「2連敗」の世耕氏に、もう二階氏と争える力は残っていなかった。県連の会合では過去の選挙結果、得票、世論調査などから、鶴保氏のくら替えと、現職の二階氏を推す声が大半だった。
意見を求められた世耕氏は、
「皆さまのご意見の通りで、と思います」
と言葉少なだったという。
一方の二階氏は新2区の候補になったことについて、
「当然だ。和歌山のために働く」
と意気揚々と語り、鶴保氏が新1区に決まったことには、
「必ず勝てる候補として選んだのだ」
と早くも「勝利宣言」。鶴保氏も「前向きに考える」と新1区からの出馬はほぼ確定的だ。