和歌山県の実権はまだまだ譲れない? 次の衆院選も小選挙区から出馬予定の二階俊博元幹事長
和歌山県の実権はまだまだ譲れない? 次の衆院選も小選挙区から出馬予定の二階俊博元幹事長
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「解散」をにおわせたと思ったら一転、「今国会では考えていない」と明言した岸田文雄首相。しかし、自民党内では総選挙が間近に迫っているかのように候補者調整が進められてきた。衆院小選挙区の「10増10減」で選挙区が減る地区では少ない椅子をめぐり、さまざまな駆け引きが繰り広げられている。その一つ、和歌山県では、二階俊博元幹事長と世耕弘成参院幹事長という実力者2人による“3度目の闘い”に終止符が打たれたところだった。

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 岸田首相が今国会での解散はないと表明したのを聞き、

「早期の解散がないなら、ここまで急いで候補者を決めることもなかった。選挙が目の前と誰もが思っていたよ」

 とやや不満げに語ったのは自民党の和歌山県議だ。

 和歌山県は、次の衆院選で小選挙区が現在の3から2に減る。自民党県連は6月10日と13日に会合を開き、新1区に元沖縄北方相で参院議員の鶴保庸介氏、新2区に現3区の二階氏を公認する方針を決めた。現在の2区選出の石田真敏元総務相は比例にまわる方向だ。

 和歌山県連の幹部は、

「二階先生は上機嫌で『これでよかった』と破顔一笑だった」

 と話し、一安心との感想を漏らした。

 というのも、県選出の自民党の国会議員は、前出の閣僚経験者3人と参院幹事長の世耕弘成氏という“大物”ぞろい。選挙区の公認をめぐっては各氏の思惑も絡み、難航していた。

 とりわけ世耕氏は以前から衆院への転出をもくろみ、二階氏の地盤である新2区からの出馬を模索していたのは地元では有名な話だ。

 しかし、県連会長でもある二階氏は一貫して、自身が新2区から出馬することを明言してきた。

 今年4月にあった和歌山1区の補欠選挙も、当初、有力視されていたのは二階派の鶴保氏だった。昨年12月の自身のパーティーでは「出馬宣言」とも取れる発言までしていた。しかし、候補に決まったのは、世耕氏が推した門博文前衆院議員だった。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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二階氏側の県議と世耕氏側の後援者が怒鳴りあいも