1639(寛永16)年、浄土真宗の西本願寺に寺院子弟教育のために設立した学寮は龍谷大となった。学生数は約2万人を数え仏教系ではもっとも多い。同校は2010年代に政策、農の2学部、20年に先端理工学部を設置、23年には心理学部を設置し10学部となった。次に学生数が多いのは駒澤大で、7学部で約1万3500人だ。
龍谷大と同じ浄土真宗本願寺派の武蔵野大は1990年代後半まで武蔵野女子大として文学部のみの単科大学だった。しかし、龍谷大以上に拡大路線を突き進み、いまでは法、経済、工、薬、看護など12学部を擁する総合大学となった。
■ジェンダーを先取りしている仏教系女子大学
京都女子大が仏教系であることは地元以外であまり知られていないだろう。学生数は約6000人。女子大学のなかでは7番目に多い。学生寮では、毎朝、仏を拝むことから一日が始まる。
1920(大正9)年の設立にあたって、趣意書で「つらつら現今教育の設備を観るに、男子に厚くして女子に薄きことなきや」と、女子高等教育の必要性を訴えた。ジェンダーを先取りしている、といえなくもない。実際、2011年に女子大初の法学部をつくっている。また、23年にはデータサイエンス学部をつくり、女子大のなかでは常に先を見ているといえる。
13世紀半ば、日蓮聖人が開いた日蓮宗のウェブサイトには「体系的な仏教学・日蓮教学の勉強をしたいならば、立正大学、身延山大学への入学、編入をお薦めします」とある。天理大の前身は天理外国語学校であり、天理教海外伝道者の育成などを目的につくられた。
1971年、創価学会が創価大を開学した。大学案内には「特定の宗教の教義を扱う科目はカリキュラムにありません。いわゆる宗教教育は行っていません」とある。
「キリスト教系だから」「仏教系ゆえに」という理由で宗教系大学を選ぶ受験生はそれほど多くないだろう。自分の学力に合ったレベル、キャンパスの雰囲気、取り組んでみたい学問分野がある、将来をあと押してくれる、などを理由で大学に入学した学生が大半だろう。宗教系大学であることは知ってはいたが、聖書、仏典を読んだのは初めて、という学生がおり。大学はそのことをよく知っている。