だからこそ、宗教の魅力を知ってほしい、と大学は宗教教育に取り込んでいる。
2011年、東日本大震災が起こったあと、あるキリスト教系大学では礼拝に参加する学生が増えた。大変な状況に直面したとき、キリスト教の教えに接することで、いま抱えている悩みを解決したかった、「これからどうしたらいいか」についての知恵がほしかったからと、学生が話していたという。
将来、どうしたらいいか。
生きていく上で大きな問題にぶつかることは多々あろう。そんなとき、宗教の教えから「なるほど」とうなずいてしまうものはいくつか出てくる。そして、キリスト教なり、仏教なり、自分にとって新しい発見が得られるかもしれない。
宗教系大学の成り立ちはドラマチックであり、おもしろい。興味が尽きない。宗教の創始者は時代に抗い、時の権力者から弾圧を受けることがあった。それでも信念を貫き、生き方を説いた。
こうした生きざまは現代の私たちに勇気を授けてくれる。生き方にヒントを与えてくれる。宗教を看板にしている以上、どこも人間教育がしっかりなされており。愛と平和を追求しいている。これならば安心できよう。未熟な自分を変えたい、という人は、宗教系大学の門をたたく、という選択肢あっていいかもしれない。
(教育ジャーナリスト・小林哲夫)