子どもの出っ歯や受け口などの「不正咬合(こうごう)」や、永久歯が生えてこないなどの異常は、早めに気づいて適切な時期に矯正歯科治療を受けることが望ましいとされています。矯正歯科治療というと、歯の表面にワイヤを付けて何年も過ごす治療を思い浮かべるかもしれません。実際にはどのような治療がおこなわれるのでしょうか。矯正歯科治療を専門とする歯科医師にうかがいました。この記事は、週刊朝日ムック「手術数でわかるいい病院」編集チームが取材する連載企画「名医に聞く 病気の予防と治し方」からお届けします。「子どもの矯正歯科治療」全3回の2回目です。
【画像】矯正治療前に不可欠な検査の一つ セファログラム(頭部X線規格写真)はこちら
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■【検査・診断】パノラマX線撮影とセファログラムが不可欠
乳歯から永久歯に生え変わるのは6~12歳ごろです。この時期は、永久歯がちゃんと生えてくるか、歯並びよく生えてくれるか、親としては気がかりでしょう。
歯並びが悪い状態を「不正咬合」と呼び、出っ歯(上顎前突[じょうがくぜんとつ])や受け口(反対咬合)、でこぼこの歯列(叢生[そうせい])などの種類があります。また、埋もれたまま生えてこない永久歯(埋伏歯[まいふくし])や生まれつき一部の永久歯の欠如(先天性欠如)があるケースもあり、歯の生え変わりには注意を払う必要があります。
不正咬合が疑われる、永久歯が生えるのが遅いなどの異常があったら、矯正歯科を専門とする歯科医師の検査を受けましょう。日本矯正歯科学会認定医・臨床指導医でみむら矯正歯科院長の三村博歯科医師は、次のように話します。
「専門的な検査では、まず乳歯・永久歯の歯並びや埋伏歯の有無などをみるために、『パノラマX線撮影(上下すべての歯と、歯の周囲のあごの骨を映し出す断層X線撮影)』をおこない、歯の生え変わりの状態や異常をチェックします。さらに歯型をとって模型をつくり、歯と歯の並ぶ部分の大きさなどを詳細にみます。何より矯正歯科では、あごや顔面の骨格をくわしく調べる『セファログラム(頭部X線規格写真)』を撮って、治療計画を立てます」