岸田首相の長男翔太郎氏の官邸での「組閣ごっこ」が大炎上して支持率が下落したことへの対応として、ばらまきの額をとりあえず5000億円上積みしようということなのだろうが、これもまた国民を馬鹿にする話だ。

 ばらまきの額を拡大すれば、財源を巡る議論は解消するどころか、むしろ困難度が高くなるだけだ。頭が悪いとしか思えない。

 元々、少なくとも1.1兆円は歳出改革=社会保障改革で賄うと報道されていたが、今後は、子育て支援の中身よりも社会保障の何を削るのか、利用者負担をどの範囲でどれくらい上げるのかということが議論の中心になる。現に、財務省の財政制度等審議会では、来るべき日に備えて、様々な負担増やサービス抑制などの議論が行われている。

 もちろん、最終段階で高齢者を中心に医療介護サービスの削減や負担増への反対が強まるのは必至だ。医師会なども猛反対するだろう。だが、実はそれも織り込み済みだ。その時は、「やはり、消費税の増税しかない」ということに繋げていく。それが予想される道筋だ。

 子育て支援の話が、社会保障サービス削減の話に姿を変え、最後は消費税増税の話になるという政府自民党のシナリオ。

 近々行われると言われる衆議院選挙では、国民は馬鹿だと考えている政治家たちに、「私たちは馬鹿ではない」ということを思い知らせてやろうではないか。

※今週から「週刊朝日」で連載していたコラム「古賀茂明 政官財の罪と罰」をAERA dot.で連載いたします。

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