問題となったのは「防災事業委託費」。2019年度に143万円、20年度に176万円、21年度に275万円、22年度に485万円が支出され、合計1079万円が市内の保険代理店に支払われていた。
しかし、支出の根拠となる契約書はもとより、支出について理事会で話し合った記録もなかったという。
問題の金について市P協が保険代理店に問い合わせると、「防災備品の購入や児童向けイベント開催費として金銭を預かったが、コロナ禍や事業費の高騰で予定していた事業が頓挫した」と回答があった。そして今年2月中旬に全額が返金されたという。
普通であれば、理事会で議決を経た決算書の費目の内容について役員が知らない、というのはあり得ないことと思われるが、市P協の現役役員たちはまったく把握していなかったという。
「その話を聞いたときは、もう本当にびっくりしましたね」と市村会長は振り返る。
市村会長は昨年12月にあった同市桜区のPTA連合会の理事会で、市P協の溝口景子会長と顔を合わせた。22年度に会長に就任した溝口氏は、20年度から団体保険(補償制度)を担当する副会長を務めていた。そしてこの理事会には、市P協が扱っている団体保険の会社の社員も同席していたという。この会社と今回の使途不明金問題との関係は不明だ。
「保険のDVDも作ったし私も出ているので、みなさんに渡してね、という話でした。溝口会長が、この問題について何も知らない、とおっしゃっているのであれば、会長職とは何なのか、懐疑的になります。いったい誰が市P協を動かしているんだ、という話になりますから。もしくは組織として、事業として、機能していないと言わざるを得ません」
そして、「不正会計とか、簿外資産があるというのは、一般企業であれば懲戒免職ものの大問題ですよ」と語気を強める一方、「誰がこの金をどうためたとか、何に使ったというのは二次的な問題」とも言う。