同時に、IQを検査してくれた医師から、IQに差がある子どもたちと過ごすということは、学年が異なるクラスで過ごすようなものだと教えてもらった。
「学年が違うクラスで過ごすような感覚が日常なのは、それは息子にとって苦痛だなと、やっと息子のつらさがわかりました。IQが高いのは、いいことだと思ったこともあるのですが、話が合わない、関心事が合わない集団に日常的にずっといるっていう息子のつらさを初めて知った気がします」(純子さん)
そして、IQが高い人は、ほかの人よりもセンサーが敏感で、相手が何をしてほしいかを察知することに優れ、それに応えようとして疲れてしまうとも聞いた。授業の内容は、都央さんにとって学びが多いとは言いがたいものだったという。
「授業は淡々と受けて、教室にいればいいので楽だなと思う一方で、楽しい時間ではないのでつらい場所でもある」とこぼす。
学校でつらい思いをする都央さんを見て、入学や進級のたびに担任の先生へ都央さんの個性について手紙を書いて理解を求めた。幸いなことに担任の先生もギフテッドについて調べ、理解してくれる努力をしてくれた。スクールカウンセラーも理解を示し、相談に乗ってくれるという。純子さんは「集団生活や行事など学校でしか学べないこともあると思います。息子がやりたいことの時間も取りつつ、負荷はかけないように学校に行く日も作ろうという試行錯誤の中で今のスタイルになった」という。
■独学でAIをプログラミング
ただ、都央さんにとっては、周りの小学生のように週に5日、一日6時間の授業を受けることが「時間のロス」に感じてしまうこともある。「自分が興味のあることをしている時が一番ワクワクする」と言い、いくつかの夢中になっていることがある。
その一つがプログラミングだ。21年に開かれた小学生向けのプログラミング大会では、小学4年で決勝に進出。一人暮らしの祖母のために考えた買い物アプリを発表し、特別賞を受賞した。翌年にも同じ大会で、5千件を超える応募作品の中からトップ10に選ばれた。AIが文章を作成するアプリをChatGPT(対話型AI)がリリースされる前に独自に制作し、決勝に進出した。