最近は剣道熱が再び高まりつつある。「とある方から非常に素晴らしい防具をいただいて、もう一度始められる場所を探しているところです」[撮影/蜷川実花、hair & make up 酒井啓介(MARVEE)、styling 亘 つぐみ(TW)、 costume LEMAIRE、EYTYS(木村さん/すべて表紙、50ページも)、hair & make up 冨沢ノボル(蜷川さん)]
最近は剣道熱が再び高まりつつある。「とある方から非常に素晴らしい防具をいただいて、もう一度始められる場所を探しているところです」[撮影/蜷川実花、hair & make up 酒井啓介(MARVEE)、styling 亘 つぐみ(TW)、 costume LEMAIRE、EYTYS(木村さん/すべて表紙、50ページも)、hair & make up 冨沢ノボル(蜷川さん)]
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 第一線で活躍し続ける木村拓哉さんと蜷川実花さん。ともに50歳だ。キャリアを積み重ねてきた二人が、自分らしさや次の世代へのメッセージについて語り合った。AERA 2023年6月26日号から。

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──経験を積む中で、自分なりの仕事のスタイルもできてくる。意識することはあるのだろうか。

木村:“らしさ”って考える?

蜷川:うーん、あんまり考えないかな。ただ、仕事では「合わせようとしすぎない」ことが、私らしさなのかもしれないとは思うようになった。少し変わった家庭環境で育ったのもあって、「自分の考えで突き進め」という父の考えが染みついているんだよね。人に迷惑をかけない範囲で、“私がどうしたいか”というのが全ての基準値になってる。

木村:俺も自分らしさというものにこだわったことはないんだよね。自分がいいと思ったことや、格好いいなと思ったものに正直でいるだけで。

蜷川:そうそう。私の作品も「蜷川さんの色味が好き」と褒めてくださる方がいて、それはうれしいけど、狙ってこうなったわけではない。全ての枷(かせ)を取り払って、自由に撮影したらこうなったというだけで。「ピントが合っていない」とか批判されることもあったけど、「それでもいいじゃん」と思える強さが、もしかしたら“自分らしさ”ということになるのかもしれない。

木村:うん。好きなことに素直だから、逆に「自分がダサいなと思うことはしない」という、シンプルな形になるんだよね。

蜷川:自分で「私はこういう人間だから」というフレームを作らないことは大切だと思うよ。内省も大切だけど、それをやりすぎると、自分という箱の中に閉じ込められてしまうでしょう。

■背中で見せるしかない

木村:あと、自分らしさは一人称で生まれるものじゃないと思うんだよ。人や物事に対峙したとき、初めて気づくものというか。鏡のように、自分とは違うものに自分を映して反射させることで、自分の輪郭線がはっきりしてくる気がする。

蜷川:そうだね。そして、自分がやりたいことをやる勇気と訓練は必要だと思う。小さいことだけど、皆が着ないような服を着てみたり、たまには年甲斐もないと思われるようなことをしてみたり。実際にやると意外と圧があるじゃない? そういうのを全部取り払って、やりたいことに素直になると、自分の本当のスタイルが見えてくるんじゃないかなって思うな。

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