私は確かに、トランプが当選したときはちょっと気になっていたんです。これからどうなるのだろうかと。彼は我慢ならないような側面、下品な側面なんかもいっぱいあったんですけれども、それでももしかしたら、このアメリカを立て直す力があるのかと考えたりもしたわけです。
ただまあ、そういうふうにはいかなかったということがあります。確かにアメリカの大統領選挙は大事ではあるんです。けれども、国際的な観点からして「誰が選ばれるか」というような点は、そこまで重要ではないのかもしれないですね。これはまあ、完全にアメリカフォビアの私の観点ではありますが。
ただ、私がアメリカフォビアの話をしているときは、半分ユーモアを含んでいるということもご理解いただけたらというふうに思います。完全に、根拠のあるデータに基づいて言っているわけではないので。ユーモアも含んでいるということも含めて、ご理解いただけたら。
●エマニュエル・トッド(Emmanuel Todd)
歴史人口学者・家族人類学者。1951年、フランス生まれ。家族構成や人口動態などのデータで社会を分析し、ソ連崩壊などを予見。主な著書に『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』(文芸春秋)『第三次世界大戦はもう始まっている』(文春新書)など
●池上 彰(いけがみ・あきら)
ジャーナリスト。1950年、長野県生まれ。NHKの記者やキャスターを経て、フリーに。名城大学教授、東京工業大学特命教授。主な著書に『世界史を変えたスパイたち』(日経BP)『第三次世界大戦 日本はこうなる』(SB新書)など