夏木マリ(撮影/門間新弥)
夏木マリ(撮影/門間新弥)

夏木:この舞台は太鳳さんがジュニアに与える最初の“絵本”よね。ピノキオは勉強もしないでいたずらをしたり寄り道をしたりしたけれど、結局は自分の冒険によって愛を知る。自分らしく生きているんです。自分らしく生きるためには行動せざるをえない。行動すれば何かを発見するし、愛もきちんとわかる。普通の子どもたちよりもアップダウンがあった分、愛を早く知りました。

土屋:私はピノキオは子どもの時にしか読んでいなかったから、「嘘を言ってはいけない」という文脈で捉えることが多かったですし、楽しいイメージで残っていませんでした。でも、マリさんがおっしゃる通り行動しないと道は開けないし、その子どもなりに人に出会った先に道が開けるんですよね。

夏木:ピノキオが嘘をつくことは失敗なんだけど、人間は失敗してもいいんだということを物語の終盤で体感で理解する。人は誰でもネガティブ要素は持っているじゃないですか。そこが強調されると、ピノキオは嘘つきということになるけれど、ネガティブなところを徹底的にやってもいいんだって思う。そしたら、何かが見つかるんじゃないかと思うんですよ。

土屋:すてきですね。今の私にはできない表現がいくつもあるかもしれませんが、マリさんのお話を伺ったら、そういう気持ちをちょっと脇に置いておいて、できることをまずやって失敗してみようと思いました。

夏木:でも、土屋太鳳という人は、意外と大胆ですよ(笑)。しっかりしているしクールだし。私はそこをもっと皆さんに見てもらいたいの。太鳳さんはいつもヒロインだから、ちょっと優等生っぽく見られがちでしょう。でも、私より大胆かもしれない。素晴らしい才能があると思うので、この舞台でもっともっと才能が輝いたらいいなと思います。

土屋:心を込めて踊ります!

(構成/フリーランス記者・坂口さゆり)

AERA 2023年6月19日号

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