土屋太鳳(撮影/門間新弥)
土屋太鳳(撮影/門間新弥)

土屋:ありがとうございます。私は今まで運動することで体の調整はしてきましたし、踊ることで普段、言葉で表現できない何かをぶつけてきました。ただ今回は、例えば動いてはいけないとか走ってはいけないとか、ストレッチもあまり伸ばしすぎないでとか。初めて動かないことに挑戦しています。ただ、ダンスは静止しているときもダンス。自分が試行錯誤している中で、動かないことに挑戦していることで得られた何かをダンスで表現する。それが今、自分にできることかなと思っています。

■「何か」を掴む瞬間

――夏木が土屋の印象派出演を切望することになったきっかけは、土屋が20歳で出演したオーストラリア出身の歌手シーアのミュージックビデオだった。

土屋:お声かけいただいた時は、すごくうれしかったです。マリさんの表現の中に飛び込めるんだって思っただけで、お化け屋敷に入る時のドキドキ感とテーマパークに入るときのワクワク感がありました。実際にワークショップに参加させていただいた時は、緊張感がすごかったです。決められた振りが一つあって、自分で話しながらなんでもいいからそれを踊っていくという課題は、一瞬すごく考えてしまいました。でも、マズイマズイマズイって思うのも楽しいですよね(笑)。そう思ったからこそ出る「何か」を掴む瞬間がドキドキする。普段の生活では出会えない瞬間かなと思います。今回は少しでも全身のアンテナを張って、一つのピースになれたらと思っています。

夏木:「ピノキオ」は童話シリーズの4作目。童話は深読みすると面白いでしょう。本当に残酷な話がいっぱいあって、そこで社会との関わりをはじめ教えられることがたくさんある。私は大人こそ読まなければならないと思っています。ピノキオはお話としては一番残酷だと思っていますが、それが今回やろうと思ったきっかけでもあります。

■愛情を持って伝える

土屋:残酷なお話ではあっても、それをきちんと愛情を持って伝えられることが童話の良さですよね。私も童話は大人も読むべきだと思いますし、大人が子どもたちにきちんと読むべきだと思います。その残酷なことを愛情を持って言うか言わないかで、伝わり方が違ってきます。舞台で踊るのは絵本を読むのとは違いますが、表現に愛情を持って伝えられたらと思っています。

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