■「10年戦争」を覚悟
その戦争によってスウェーデンの支配下にいたスラブ人を、ロシア帝国の元に迎え入れたんである、彼は「それはスウェーデンから領土を奪い取ったんじゃない。そもそも、スラブ人が住んでいるところをスウェーデンが占領していたのだ」と言っていたんです。
そこを「取り戻したにすぎないんだ」と、こういう言い方をした。ウクライナ侵攻をしたプーチンは、そのときにピョートル大帝がスウェーデンの支配下にいたスラブ人を救い出したということを、今、自分がウクライナ東部にいるロシア人を助けようとしているんだってところと、二重写しにしているような気がするんですね。
この北方戦争は、21年間続きました。プーチンはおそらく、ウクライナに対して最初は3日間でカタがつくんだろうと思ったけれど、それができなくなってしまった。そして、NATOが全面的にウクライナを支援しているということは、もう少なくとも10年戦争を覚悟しているんだろうと思うんですね。
なので、プーチンが健在である限り、残念ですが、戦争はまだまだ続くと私も現時点ではそう思っています。
(構成/編集部・小長光哲郎、通訳・大野舞)
※AERA 2023年6月19日号より抜粋