少年非行の問題に取り組んできた吉田朋弘弁護士は語る。
「子どもの頃から日本で育ち、国籍国に移ることが困難な人もいます。改正案は、在留特別許可を出すかどうかの判断において『素行』を考慮すると法律に明記しています。さらに、1年を超える実刑前科等の場合、在留許可を認めないとして現在の入管のガイドラインよりも対象範囲を大幅に広げています。非行・犯罪の背景には貧困や虐待などがあります。そうした背景を作り出しているともいえる日本社会において、本来であれば保護され、やり直しの機会をあたえられるべき人たちが、切り捨てられてしまいます。そのような法案を通してはなりません」
連日のように各地でデモが開かれる中、広島で19~21日まで行われた「主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)」におけるG7の「首脳宣言」では、「移民の人権や基本的自由の尊重」が確認された。日本政府は議長国としてその成果を、今国会で見せることができるのか。政府の本気度が試されている。
(ライター・黒坂真由子)
※AERAオンライン限定記事