週刊朝日 2023年5月26日号より
週刊朝日 2023年5月26日号より

 佐々木医師によると、心不全の在宅医療で大事なのは、急性増悪の兆候があったらそれを逃さず、自宅での治療が難しいと判断したら、すぐに専門の病院に入院することだという。「何とかなるだろう」と在宅で引っ張るのはよくない。同会では近隣の医療機関と連携していて、何かあったときにはすぐに入院できる態勢を整えている。

 同居している家族も兆候を見逃さないよう、三つのポイントを覚えておくとよいそうだ。

▼就寝中に息苦しくなる

▼ちょっと動いただけでも息苦しくなる

▼たくさん食べているわけではないのに、体重が増えてきた

 こうしたことがあればすぐにかかりつけ医や主治医に連絡を取ったほうがいい。そして、もう一つ、家族が心得ておいてほしいのは、「高齢者の心不全は突然死を起こしやすい」という点だ。突然死というと聞こえが悪いが、要は“ピンピンコロリ”の亡くなり方に近い。前日まで普通に生活していたのに、朝見に行ったら息をしていなかった──。こんなことが心不全では起こりやすい。

「このときに救急車を呼んでしまうと、まだ息があると思った救急隊は、その場で挿管して心臓マッサージを始めます。骨がもろい高齢者だと、肋骨(ろっこつ)がボキボキに折れてしまいます。死亡が明らかな場合は警察が呼ばれて、運が悪ければ解剖されてしまう」(同)

 万が一の場合は、まずは主治医やかかりつけ医に連絡を取ること。訪問看護が入っていたら看護師に連絡してもいいだろう。家族は事前に医師や看護師と話をして、シミュレーションしておいたほうがいいそうだ。(ライター・山内リカ)

週刊朝日  2023年5月26日号より抜粋

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