1980年代の人気アイドルグループ「おニャン子クラブ」の元メンバーで、介護問題について発信している新田恵利さんが、淑徳大学の客員教授となり、教壇に立つ。期間は1年。学生に伝えたいこと、介護を終えてからの活動について聞いた。
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新田さんは、2014年から実母の介護を在宅で始め、亡くなる21年3月まで続けたその経験を踏まえた講演や執筆など、介護に関する情報発信に積極的に取り組んできた。教育の場で活動するのは初めてという。
以下、新田さんとの一問一答。
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──客員教授の話はどのような経緯で?
淑徳大学の結城康博教授と以前、テレビ番組でご一緒させてもらいました。その後もお付き合いさせていただいています。そのなかで今回のお話があり、自分の経験が役に立つならと。
──学校には過去にも行かれたことがあるようですが、学生の印象は?
みんなフレッシュで刺激的。親御さんが50代前半くらいだと、きっと「おニャン子」どんぴしゃ世代ですよね。そのお子さんに向かっての授業です。楽しみですが緊張が大きいです。
──学生にはどんなことを伝えようと思いますか。
実際に介護を通して得たことを、体験者の声としてお話ししたいと思っています。若いから介護はまだまだ先、なんて思っているかもしれませんが、誰にでもいつか必ず介護はやってきます。介護をもっと自分ごととして捉えてもらいたいと思っています。介護の対象になるのは、親だけとも限りません。子どもや自分だってあり得るわけです。生きている限り、介護は切り離せないものです。「介護は日々の生活と隣り合わせ」ということを伝えたいです。
社会福祉学科の学生のうち、約7割が卒業後の進路に福祉関連の仕事を選び、約3割が一般職と聞いています。たとえ介護の現場で働くことを選ばないにせよ、介護のことを学ぶというのは素晴らしいと思います。高齢者の視点になって考える力がつけば、超高齢社会で働く社会人として強みにつながると思います。