ここまで61試合で67三振と粗さはあるものの、その欠点以上にパワーは大きな魅力であり、ホームランもライト4本、センター2本、レフト3本ときれいに打ち分けているのは見事という他ない。また3割を超える打率だけでなく、出塁率も4割近い数字を残すなどしっかりボールを見極めることができているのも大きな成長である。現役ドラフトで移籍した選手ではここまで大竹と並ぶ活躍であり、細川がいなかったらゾッとすると感じているファンも多いはずだ。

 パ・リーグで首位を争うオリックスでは育成ドラフト4位ルーキーの茶野篤政の活躍に注目が集まっているが、もう1人サプライズとも言える成績を残しているのがプロ5年目の頓宮裕真だ。亜細亜大では強打の捕手として活躍し、2018年のドラフト2位で入団。プロ入り後は打撃を生かして内野手として起用されると言われていたものの、捕手との併用が続いたこともあって当初は二軍暮らしが続いた。昨年ようやく11本塁打を放ってブレイクの兆しを見せると、今年は開幕直後からファーストのレギュラーに定着。ここまでリーグダントツとなる打率.344をマークして首位打者争いを独走しているのだ。

 昨年も53安打中11本がホームランと長打力には定評があったものの、打率は.226と低調だっただけに、ここまでの高打率をマークすると予想していたファンは少なかったはずだ。また6月9日以降の9試合で6本塁打を量産するなど、高打率をキープしたままホームランも増えてきている。吉田正尚(現レッドソックス)の抜けた穴を最も埋めているのは現時点ではこの頓宮と言えるだろう。

 パ・リーグの投手では西村天裕(ロッテ)を挙げたい。帝京大時代から評判の本格派で、NTT東日本を経て2017年のドラフト2位で日本ハムに入団。即戦力の期待に応えて1年目から2勝、1セーブ、8ホールドをマークしたものの、その後はスピードはありながらも投球が安定せず、今シーズンの開幕直前にトレードでロッテに移籍することとなった。開幕直後は負け試合での登板が多かったが、好投を続けて首脳陣の信頼を得ると、5月以降は勝ちパターンの一角に定着している。

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後半戦も伏兵が現れるか?