魅力ある球場には集客力はあるが、チームが負け続ければファンも離れてしまう。メジャーリーグでも同様の例は多く、新球場が開場するとご祝儀的に2~3年は観客を呼べても勝てなければ空席が目立つようになる。当然、日本ハムも“必要最低限”の勝利が必要とされていた。
「監督業を少しずつわかり始めてきた部分もある。投打で柱となる選手を固めたうえで、調子に応じて選手を入れ替える。もともとモチベーションを高めるのは上手いタイプ。大きな連敗さえしなければ、上位3つに入れる可能性だってある」(日本ハムOB)
投手陣では右の伊藤大海、上沢直之、左の加藤貴之と安定感のある投手も揃ってきた。加えて下手投げの鈴木健矢もローテーション入りして勝ち星を重ねている。また、ソフトバンクから近藤の人的補償で加入した田中正義は抑え投手に定着。現在リーグ4位タイの9セーブを挙げ、5球団がドラフト1位で競合した実力の片鱗を見せている。
打線では昨シーズンの首位打者・松本剛が少し成績を落としているが、万波中正が長距離打者として覚醒しつつある。ドラフトで逆輸入指名した加藤豪将もケガで出遅れたが実力を発揮。阪神時代からロマン砲と呼ばれ、現役ドラフトで加入した江越大賀も結果を出し始めた。他にも野村佑希、清宮幸太郎など、楽しみな若手が揃っている。
「弱点は明白で捕手と二遊間のセンターライン。開幕から多くの選手を起用しているが固定できない。今後、上位進出を目指すためには必要不可欠」(日本ハムOB)
新庄監督も“弱点克服”へ向け、時に厳しさも見せている。今月9日には前日の試合で緩慢プレーを見せて相手に追加点を許した捕手の清水優心を懲罰的に二軍へ降格。これからチームに緊張感や競争が生まれれば、固定できないポジションにも“新たな戦力”がでてくるかもしれない。
「選手起用のバリエーションが豊富なので奇をてらった采配の印象だが、野球自体は至ってオーソドックス、セオリーに沿ったもの。根底にあるのは野村克也氏の教えではないか。勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。野村氏の金言を新庄監督は理解しているはず」(日本ハム担当記者)