中日・根尾昂
中日・根尾昂
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 中日・根尾昂が「先発投手」としての道を歩み始めた。プロ入り後は野手での起用も含め、育成プランが定まっていないようにも見えたが現在は行くべき方向が定まった。

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 5月27日、ウエスタン・リーグのオリックス戦(ナゴヤ球場)では今季初めて先発のマウンドに上がった。5回3/1で79球を投げ、5安打、3奪三振、与四球2で1失点という内容。先発投手を任されるのは3月12日の社会人・東邦ガスとのプロ・アマ交流戦以来となった。

「緊張しているようだった。ウォーミングアップ時から口数が少ないようにも見えました。登板前のダグアウトでも何度も大きく深呼吸していた。どちらに転ぶか心配もあったが杞憂に終わった。なにより試合をまとめたことが大きい」(中日関係者)

 根尾自身も「収穫は多かったです」と登板後には安堵の表情を見せていた。野手との二刀流だった高校時代も含め、先発投手としての登板は多くなく、実戦で長い回を投げる経験を積み重ねている最中。片岡篤史二軍監督も「球数、イニングが収穫」と語っている。

 これまでは、投手、野手の両方で素晴らしい才能を感じさせたことで育成プランが定まらず、伸び悩みに繋がったとも考えられる。

 野球評論家・宮本慎也氏も高校時代から素質に惚れ込んでいたことを、YouTubeチャンネル「野球いっかん!」(2022年12月26日配信)で告白しているほど、投打にずば抜けたものがあった。

「宮本氏も語っていたが、じっくり育てられなかったのが根尾にとって不運だった。プロとして一人前になるには数年かかると思われていた。しかし中日球団内の方針もあり、遊撃、外野、そして投手と転々とした。全てのポジションで中途半端になってしまった感じがある」(在京球団編成担当者)

 同チャンネル内で宮本氏と対談した中日・荒木雅博内野守備走塁コーチも、「初めてコーチになった時、根尾を見て、1年で外野にいっちゃってウワーッと責任を感じる」と振り返っている。中日球団内で育成、起用方針がブレてしまっていたとも思える。

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