しかもこの時は、空になったゴミ箱を、いちいち僕の用事の邪魔になるところにマーツー置くんです。

 思わず僕が「ちょ、お母さん、ゴミ箱の位置、邪魔なんだけど」と言うと、マーツー、ボソリと、

「………お父さんの存在が邪魔」。

 ちょ、ごめんなさい、いま書いてて背筋に悪寒が走りました。改めて書いてみると怖いなコレ。やはりノープランの思いつきで書くべきじゃないな。いやでも、ホントにマーツー、そう言ったのです。ゴルゴ13のような目で、重く低い声で僕にそう言ったのです。片手にライフルではなく空のゴミ箱を持ったデューク東郷です(←ゴルゴ13の主人公ですな)。

 オチがなくて困っていたら、わりとほの暗いオチが待っていたわけですが、せわしなく家事を担ってくれている(もちろん家事は終わりなき大仕事。可能な限り分担すべきだと思っております)、そんなマーツーの邪魔にならぬよう、デューク東郷の標的にならぬよう(既になってたらどうしよう)、自宅での位置取りに気を配りたいと思っております。

 さて最後に1つ宣伝をば。

 年に一度、若い俳優たちに力試しの場を提供しようとの企画、舞台「ラフカット」。毎年4人の作家が約30分の短編脚本を提供し、キャストは全員オーディション。僕は4人の作家の1人として、16年前に書いた短編脚本を提供しています。舞台「ラフカット 2023」は、6月7日から6月11日まで新宿スペース・ゼロにて。

 ご高覧頂けたら幸いっす。

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