■再タッグにグッときた

――山下監督と岡田がタッグを組んだのは、「天然コケッコー」以来、16年ぶりのことだ。

岡田:声を掛けてくださっただけでも、グッとくるものがありました。今回はいい距離感、緊張感を持って臨めたことが良い方向に作用したのかな、と思っています。おそらく清原さんが思っている以上に、僕、現場で緊張していたから。

清原:そうは見えませんでした。

岡田:山下監督と会話をするのは、いまだに緊張する。いま監督が現れたら話せなくなるかも。

清原:えー!(と言って、スタジオの入り口の方をパッと見る)

岡田:いや、監督はそんな突然には現れないから(笑)。でも、撮影期間中はそれくらい、お芝居の話をする時も、言葉を選びながら話をしていた気がします。成長した姿を見せたいというわけではなく、ただただ慎重になっていたのだと思います。清原さんは、現場でもベテランの空気が出ていますよね。

清原:そんなことないですよ。

岡田:そのうえ、色々なことに興味を持ち、果敢に取り組もうとしている。映画やドラマをはじめとする映像作品に対してはもちろん、食に対しても、前向きな姿勢が常に見られるから、一緒にいて刺激をもらいます。

清原:食に関して言うと、確かにそうですね。撮影期間中のご飯ほど、エネルギーチャージできるものもないので。撮休の日はここのお寿司を食べよう、早く終わったら焼き肉を食べに行こう、と色々考えていましたね。

――お互いの変化や進化は、どのような時に感じたのか。

岡田:以前(NHK連続テレビ小説「なつぞら」で)ご一緒した時も、撮影シーンが多かったわけではないですが、口数が少ない方なのかと思っていました。でも、今回は思っていた以上にたくさん話してくれて。「あそこのお店が美味しかったです」とか教えてくれて「行きたいなー」とか話はよくしていたね。

清原:岡田さんは、初めてお会いした時から変わらず、どんな話でも聞いてくださり、興味を持ってくださる。私が突然、食べ物の話を始めても耳を傾けてくださいますし、深夜にまで及ぶ撮影でも、コミュニケーションを欠かさずに取ってくださる。そして変わらず、優しい。「岡田さんが笑っているところを見ると、元気になるね」といった話は現場でもしていました。太陽のような、まるでエネルギースポットのような、そんなふうに感じていました。

岡田:ありがたい限りです。今回の作品のテーマとも重なりますが、「出会い」と「縁」というものはきっとあると思うんです。清原さんともまたご一緒できればいいなと思いますし、これから先の役者人生でも、まだまだ色々な出会いが待っているのだろうなと思います。

(構成/ライター・古谷ゆう子)

AERA 2023年7月3日号