■映像のマジック

――相手のお芝居にハッとさせられたり、心を動かされたりしたのはどのような瞬間だったのか。

岡田:ハジメとレイカは真逆ともいえるキャラクター。芝居をしているけれど、まるで芝居をしていないかのように見える清原さんの姿を見ると「果たしてハジメ君、いま大丈夫かな?」と感じることもありました。やり過ぎではないかな、と反省しながらも、カメラを通した時に二人がバランス良く映ればいいのかな、と。現場では、清原さんのキャラクターの作り込み方も、佇まいも、勉強になりました。常にアンテナを張っている姿をずっと見ていたので。疑問に思っていることや感じていることを口に出して言ってくださるので、一緒に仕事をしていくうえですごく助かるんです。

清原:岡田さんこそ、ずっとセンサーを張っている状態で現場にいらっしゃるな、と感じていました。私はレイカちゃんのような役を演じていると、センサーを張っているつもりでも、気づけばふっと抜けていってしまうこともあるので。

岡田:そうだよね。

清原:ハジメのような役と向き合い続ける根性は相当なものだなと思っていましたし、私がハジメのような役をやってくださいと言われたら、パニックになってしまう気もします。監督と現場でお話をされている時の柔和な雰囲気には、岡田さんのお人柄が出ていて、素敵だな、と思う瞬間は何度もありました。

――「1秒先の彼」には、映像のマジックともいえるシーンが登場する。大きな見どころの一つだ。

岡田:あまり詳しくは言えないのですが、清原さんが自転車に乗り駆け抜けるシーンがあり、羨ましかったですね。あんなカット、撮影でもなかなか味わえないので、経験してみたかった。

清原:実際はマジックのようなものではなく、エキストラの皆さんに無理を言って撮影したシーンなんです。雨も降っていたので、皆さん風邪をひかなかったか、心配したことをいま思い出しました。岡田さんにも大変なシーンがありましたよね。詳しくは言えないところですが。

岡田:あれはつらかった(笑)。僕はもう、山下さんに言われたことは何でもやる、と決めているのですが、山下さんに「岡田~、できるか?」と言われ、「物理的に無理だよな」と思いつつ、「できる限り頑張ります」と言って。そのシーンは、それまでのハジメ君とは少し違って見えて、僕にとっても印象的なシーンとなりました。

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