冒頭「日本国、前内閣総理大臣の安倍晋三です」と名乗った後、安倍氏は「UPFの主催の下、より良い世界実現のための対話と諸問題の平和的解決のためにおよそ150か国の国家首脳、国会議員、宗教指導者が集う希望前進大会で、世界平和を共に牽引してきた盟友のトランプ大統領とともに演説の機会をいただいたことを光栄に思います。ここにこのたび出帆した『THINK TANK 2022』の果たす役割は大きなものがあると期待しております。今日に至るまでUPFとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子(ハンハクチャ)総裁をはじめ皆様に敬意を表します」と韓鶴子総裁を礼賛し、「UPFの平和ビジョンにおいて家庭の価値を強調する点を、高く評価いたします」と述べた(前掲書270~272頁)。

 それまで鈴木氏が取材で把握していた「安倍と教団側の“取引”を示す傍証は、安倍サイドからしてみると『教団側が捏造したもの』『教団側がそう言っているだけ』として言い逃れができてしまうものだった。しかし、この映像は安倍が初めて統一教会との関係を公にした瞬間だった」。それだけに「安倍のビデオメッセージによるリモート録画登壇は衝撃的だった」と、鈴木氏も述べている(前掲書、276頁)。

 2021年9月17日に、「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(以下、「全国弁連」)が、旧統一教会について、

 統一教会は、信者の人権を抑圧し、霊感商法による金銭的搾取(さくしゅ)と家庭の破壊等の深刻な被害をもたらしてきた反社会的な団体である。

 国会議員や地方議員が統一教会やそのフロント組織の集会・式典などに出席し祝辞を述べ、祝電を打つという行為が目立っている。これらの行為は、統一教会により、自分達の活動が社会的に承認されており、問題のない団体であるという「お墨付き」として利用される。

 として、安倍晋三衆議院議員宛てに公開抗議文を送付したが、安倍事務所は、受け取りを拒否していた。

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旧統一教会へのお墨付き