その後、成長とともに3歳頃には発作が安定し、常に無表情だった長女が笑顔を見せてくれるようになりました。あんなに長女の障害を認められず知的な遅れを恐れていたはずが、いつの間にか、こうして笑ってくれるだけで良いと思えるようになっていました。

■リラックス度を計測

 以前もこのコラムに書いたことがありましたが、長女は17歳になった今も赤ちゃんのままです。嬉しい時には手足をバタバタさせて喜び、Eテレの「おかあさんといっしょ」の歌が何よりも好きです。今でも「この子に障害がなければ、次女と同じように高校生活を満喫していたのかな」と思うことはあります。でも、長女は長女の世界の中でとても楽しそうに暮らしているので、やはり幸せのかたちはひとつではないのだと私なりに納得しています。

 実は今、長女はある大学の作業療法の研究に参加しています。リラックスできる空間で心地よいメロディーやライトなどを使い感覚をやさしく刺激する「スヌーズレン療法」の時と、何もせずに30分間マットに置かれている時の唾液を採取して、その成分の違いからスヌーズレン療法の効果を検証するというものです。長女は言葉を話すことができないので、私たちは表情や声から気持ちをくみ取り、コミュニケーションをとっているのですが、こうして科学的にリラックス度が計れるとはすごい時代ですね。この研究結果は、さまざまな障害のある子どもたちの日中活動のクオリティーの向上につながっていくそうで、結果が届くのが楽しみです。

AERAオンライン限定記事

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼