きょうだい児向けのクッキングイベントで、子どもたちが丸めたポンデケージョです。コロナ前のように、飲食を伴うイベントもまた再開できたらいいなと思っています(撮影/江利川ちひろ)
きょうだい児向けのクッキングイベントで、子どもたちが丸めたポンデケージョです。コロナ前のように、飲食を伴うイベントもまた再開できたらいいなと思っています(撮影/江利川ちひろ)
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「インクルーシブ」「インクルージョン」という言葉を知っていますか? 障害や多様性を排除するのではなく、「共生していく」という意味です。自身も障害のある子どもを持ち、滞在先のハワイでインクルーシブ教育に出合った江利川ちひろさんが、インクルーシブ教育の大切さや日本での課題を伝えます。

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 初夏のさわやかな陽気になりました。5月のカラッと晴れた日は、とても過ごしやすいですね。私が運営しているNPO法人かるがもCPキッズでは、コロナ以前は、毎年この時期に「きょうだい児」(病気や障害のある子どもの兄弟姉妹)のためのイベントを開催していました。当時の写真を見ていたらとても懐かしくなり、今回は、かるがもCPキッズのきょうだい児向けワークショップについて書いてみようと思います。

■家族みんなで料理を

 きょうだい児のためのイベントを最後に行ったのは、2019年の5月でした。かるがもCPキッズには定番のワークショップがいくつかありますが、特に人気が高かったのは「クッキング」です。都内のキッチン付きの施設を借りて、きょうだい児たちが主導して簡単なランチを作る会です。もちろん障害のあるお子さんも参加でき、ご家族みんなで料理をして楽しみます。

 2019年は、かるがもCPキッズの会員でもあり、オーストラリアでフードコーチをしている友人さっちゃんのレシピを参考に、なるべく火を使わずに子どもたちだけで作ることができる企画を考えました。さっちゃんはグルテンフリーのレシピを多く考案しているので、この日のメニューは(1)米粉のクレープ、(2)ポンデケージョ、(3)ポテトサラダです。

 番外編として、クッキングのワークショップの時には私がからあげを作ることも恒例となっていたので、私は毎回約6kg分の鶏肉をひたすら揚げる担当になります。

 このワークショップは、事前にオンラインでピアサポーターや学生ボランティアさんと簡単な打ち合わせをして買い出しを分担したら、あとは当日一緒に参加するだけなので、準備もとても簡単です。

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江利川ちひろ

江利川ちひろ

江利川ちひろ(えりかわ・ちひろ)/1975年生まれ。NPO法人かるがもCPキッズ(脳性まひの子どもとパパママの会)代表理事、ソーシャルワーカー。双子の姉妹と年子の弟の母。長女は重症心身障害児、長男は軽度肢体不自由児。2011年、長男を米国ハワイ州のプリスクールへ入園させたことがきっかけでインクルーシブ教育と家族支援の重要性を知り、大学でソーシャルワーク(社会福祉学)を学ぶ。

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東北から新幹線で参加した家族も