街を歩いていると、私たちはかなりの頻度で喫茶店やカフェに出会います。生活の一部としてカフェを頻繁に利用している人も多いことでしょう。書籍『カフェと日本人』の著者・高井尚之さんによると、現在日本国内にあるカフェの店舗数は70454店にも及び、これはコンビニの1.4倍もの数なのだそうです。



「飲みもの」と「場所の提供」をその機能として持つカフェ。日本におけるカフェや喫茶店では、この2つの基本性能に独特の「付加価値」が加わり、多彩な役割を担ってきたのだと高木さんは言います。



 そしてその「付加価値」を、高木さんは以下のように分類し、それぞれについて詳しく説明していきます。



(1)「会議・会合」に使う

(2)「打合せ」に使う

(3)「個人作業」や「一人時間」の場として活用

(4)一〇円増しで提供された画期的なサービス

(5)低料金で使える「時間つぶし」

(6)「音楽」を楽しむ

(7)文化人たちの出会いの場

(8)変わらぬオトコの願望を満たす

(9)欲望に応える「風俗系喫茶」

(10)たばこ難民の「逃避地」

(11)共通の趣味を持つ人々が集う場所



 例えば4番目にあげられた「10円増しで提供された画期的サービス」とは、1955年頃から始まり定着した「モーニングサービス」のこと。朝の時間帯に注文されたコーヒーに、トーストやゆで卵がつくという「モーニングサービス」は、現在も広島で営業している「ルーエぶらじる」がその元祖なのだそうです。



「戦後の食糧難が残る時代、卵と薄いトーストを一〇円増しで提供した画期的なサービスだった。これが『週刊朝日』に紹介されて各地に広まったといわれる」(同書より)



 この他にも同書では、珈琲や喫茶店・カフェの歴史にはじまり、名古屋が全国で最も一世帯当たりの喫茶代支出額が高いというデータから、何故、名古屋人は喫茶好きなのかを歴史的に考察したりと、様々な角度から「カフェと日本人」との関係を追究していきます。



 黒船来航以来続く、カフェと日本人との関係とは如何なるものだったのでしょうか。そこには日本の文化を読み解く鍵が潜んでいるのかもしれません。

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