政府によると、日本では、まだ食べられるはずの食品が年間500万トン~800万トンも廃棄されているという。実にもったいない話だ。
こうした「食品ロス」を少しでも減らすため、農業分野や食品流通分野などを中心にさまざまな取り組みが行われているなか、今回は、日本気象協会が発表した食品ロス削減プロジェクトを紹介したい。
日本気象協会は気象の情報を提供する団体である。そんな団体が行う、食品ロスを減らすための取り組みとは、いったいどんなものなのだろうか?
それが、気象の情報と売り上げデータ(POSデータ)などを組み合わせて解析し、高度な需要予測を行い、製造会社や配送会社、販売会社などに提供するというプロジェクトだ。
プロジェクトの開始年である今年度は、対象地域を関東のみにしている。対象商品も、日持ちのしない豆腐と、日持ちはするが特定の季節に需要が集中する麺つゆ・鍋つゆのみに絞られる。豆腐の情報を配信する先は、前橋市に本社を置く相模屋食料。麺つゆ・鍋つゆに関する情報の配信先は愛知県半田市に本社を置くミツカンだ。
また、卸売事業者として食品問屋の国分(本社:東京都中央区)が、小売事業者としては国分グローサーズチェーン、ココカラファインヘルスケア(本社:横浜市港北区)、一般社団法人新日本スーパーマーケット協会(本社:東京都千代田区)、そして、ローソンの4団体が協力する。
なお、来年度以降は対象品を食品に限らず、気象条件によって廃棄・返品ロスが生じている商品の全てに広げて、対象地域も全世界とする方針だという。
食品ロスを減らすことは、返品、返送、回収にかかる輸送などを減らし、廃棄物の処理量も少なくなるため、省エネルギーにもつながる。同協会ではこのプロジェクトにより、二酸化炭素排出量を5%減らすことを目標としている。なるほど、食品ロスを減らすことは環境保護にもつながってくるのである。果たして、異業種間を巻き込んだ、天気予報から食品ロスを減らすという斬新なアイデアは、功を奏するのか。