音楽シーンのトレンディはラジオが指標?! ceroとNulbarichの動きに注目【Chart insight of insight】
音楽シーンのトレンディはラジオが指標?! ceroとNulbarichの動きに注目【Chart insight of insight】

 ヒットチャートは、その名の通りヒットしている楽曲の順序をつけるものだが、「ヒット」という言葉がなにを根拠にしているのかは、人それぞれによって違う。売上枚数、テレビやラジオの露出度、YouTubeの再生回数、そしてライヴの動員数などなど。同じアーティストでも楽曲によって違うし、時代が変わればまた変化する。

 そのなかでも、これからのトレンドの動向を反映されていると思われるのが、ラジオのオンエア回数かもしれない。メディアとしてはインターネットほど瞬発力はないし、テレビに比べると影響力も小さい。しかし、ラジオは作り手も聴き手も、ヒットの大小に関わらず新しい音楽に敏感で、自分たちの手でヒットを作ろうという気概があったりする。

 例えば、今週のHot100の中のラジオのオンエア順で1位になったのは、ceroの「魚の骨鳥の羽根 」(【表1】)。この曲はシングルではなく、5月16日に発売されたアルバム『POLY LIFE MULTI SOUL』からの一曲ということもあり、総合ではあくまでも33位。しかし、ceroは先鋭的で今非常に期待値の高いアーティストであり、各地のFM局を筆頭にメディアからの注目度も高い。ユーザーの動きよりも一足先に、ラジオが反応したということだろう(緑のグラフ)。

 同様に、今週25位に入っているNulbarichの「Kiss You Back」も、この動きに近い(【表2】)。彼らはすでに大ブレイク間近といってもいい存在だが、一般的に見ればこれからの印象だ。この曲は先行配信されているので、セールスポイントも加算されている。しかし、やはりラジオ先行型で広まっているのは(緑のグラフ)、表を見ればわかるだろう。

 彼ら以外にも、LUCKY TAPESやSaucy Dogなどがラジオのオンエア回数では上位にいる。次なる音楽シーンのトレンディを知りたくなったら、ラジオに注目してみてはどうだろうか。Text:栗本斉