東京・茅場町の古びたビルの一室にある、写真集と美術書が専門の古本屋、森岡書店。その主が、モラトリアムを経て神保町で修業し、独立して店を軌道に乗せるまでを綴った。 大学卒業後、昭和初期の建築に惚れ込んで、電気の差し込み口が壊れてテレビも冷蔵庫もない部屋に暮らした。週3回のアルバイトで糊口をしのぎ、住んでいる建物が高級アパートだった戦前の生活を追体験するため、当時の新聞をコピーしてきて読んだりも…

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