現在愛用のカメラは、オリンパスからプレゼントされたコンパクトデジカメのオリンパスμ760。講演のため全国の支部をほとんど回ったというくらい、オリンパスとは付き合いが深い。ほかにも自宅には10台以上カメラがあり、デジカメのプリントは全部自分でしているという
現在愛用のカメラは、オリンパスからプレゼントされたコンパクトデジカメのオリンパスμ760。講演のため全国の支部をほとんど回ったというくらい、オリンパスとは付き合いが深い。ほかにも自宅には10台以上カメラがあり、デジカメのプリントは全部自分でしているという
職業柄、たとえ趣味でも人に見せるからには笑いがないといけないという歌丸師匠。組写真がお得意で3枚は上から、「魚の化石、恐竜の卵の化石、人間の化石」とオチがついている。三遊亭圓輔さん、三笑亭夢太朗さん、ナイツたちと落語芸術協会に写真同好会「お笑いぱっちり倶楽部」を結成し、年に一度「横浜にぎわい座」で発表会を開催している
職業柄、たとえ趣味でも人に見せるからには笑いがないといけないという歌丸師匠。組写真がお得意で3枚は上から、「魚の化石、恐竜の卵の化石、人間の化石」とオチがついている。三遊亭圓輔さん、三笑亭夢太朗さん、ナイツたちと落語芸術協会に写真同好会「お笑いぱっちり倶楽部」を結成し、年に一度「横浜にぎわい座」で発表会を開催している
恐竜の卵の化石
恐竜の卵の化石
人間の化石
人間の化石

――最初のカメラは?

 もう50年くらい前でしょうか。ミノルタのカメラで、息子が生まれたのがきっかけでした。その前に娘がいるんですが、その子ができたときは、まだ生活が苦しくて、カメラどころじゃなかった。戦中、戦後の時代ですから、カメラなんか持ってるのは、ごく一部の人でね。私の子ども時代の写真も、学校の先生が撮ってくれたスナップくらいしか残っていません。駄菓子屋で売ってた日光写真はよくやりましたけどね。お日様に当てると形が浮き上がってくるんだけど、すぐ真っ赤になってダメになる。大人になっても、本物のカメラは、よほど余裕のある家じゃないと持てなかった。二ツ目時代の写真も、撮ってくれたのは芸人仲間じゃなくて、主催者の方でしたよ。

――それがいまや、写真同好会の会長ですね。

 私が所属している落語芸術協会に、「お笑いぱっちり倶楽部」という写真の同好会があるんです。年に1回、「横浜にぎわい座」のロビーに展示して、お客様に見ていただくのが恒例でして。ほかのメンバーは、動物や花を芸術的に撮ってるんですが、私のだけ、いつも冗談みたいな作品で……。ワカサギ釣りに行っている相模湖の船宿に、ガーという名前のアヒルがいまして、こいつが、よく人になれててね。「ガー!」と呼ぶと、いそいそとやって来るんですね。それを釣竿ごしに撮って、「釣れますか、などとアヒルが一羽寄り」なんて言葉をつける。「釣れますか、などと愚かが二人寄り」という、落語「野ざらし」のマクラをもじってるんです。私はふだん、撮られるほうがメーンで、自分で撮る機会は少ないんです。でも、たとえ趣味でも、「人様に見せるからには、笑いがないと」と思ってしまうんですよ。

――職業病ですね。

 ねえ。困ったもんです。最近の作品は、組写真が多いんですよ。2枚以上並べて、最後にオチをつけるんです。ニューヨークの松井選手のマンション、私の自宅、そして事務所の物置の写真を並べて、「松井のお屋敷、歌丸のお屋敷、(三遊亭)小遊三さんのお屋敷」ってのをやったらウケましたね。もちろん小遊三さんには、ちゃんと許可をとりました(笑)。一昨年に撮った「化石」シリーズもなかなか好評でした。以前、あるテレビ番組に出たとき、私の人形を作ってもらったので、それを自宅にあった化石の写真と並べて、「魚の化石、恐竜の卵の化石、人間の化石」と(笑)。私、化石を集めるのが趣味で、この恐竜の卵の化石は本物なんです。中国で発見されたもので、持ち出し規制がかかる前に日本の骨董商が買い付けたのを手に入れた。まさかこんな形で役に立つとは……(笑)。でも、化石だって、ぱっと見て化石とわかるように撮るのはむずかしい。ハレーションをおこしたり、模様がきれいに写らないと、ただの石の固まりに見えちゃうから。

――愛用のカメラは?

 オリンパスμ760。機械ものには弱いんだけど、デジカメにしたのは早かった。10年くらい前でしょうか。以前は3年にいっぺんくらい、オリンパスで講演の仕事がありまして、行くと記念品としていただけるんです。もう、カメラ欲しさに引き受けてた(笑)。いま、自宅にオリンパスが4~5台あります。古いほうの機種は操作方法を忘れちゃいましたが、だんだん小さく、性能もよくなってきますね。最初のうちは、目をこう近づけてファインダーをのぞく癖が抜けなかったんですが、さすがに、いまは直りました。ふだん使うのはオリンパスだけど、1台だけ、直接プリントできるコダックのカメラも愛用中です。パソコンを使わなくても、ケーブルをつないで、ボタンを押せば、放っておいてもプリントしてくれる。便利な時代になりましたよ。つい最近、フィルムをデジタルデータに変換する機械を注文したんです。「機械に弱いんだから、そんなもの買うな」ってカミサンに怒られるんですけど、私、そういう新しいものにはすぐ飛びつく。昔フィルムで撮った写真を整理したいと前から思っていたんです。

※このインタビューは「アサヒカメラ 2009年11月号」に掲載されたものです