「参加する大多数は、大学生や若手社会人です。将来を考えたときに、仕事と子育ての両立やパートナーシップに不安を感じ、今の子育て家庭から何かヒントを得たいと参加しています」

 最近は男性一人や、カップルでの参加も目立つという。

「性別役割分業意識にとらわれず、パートナーと育児家事を分担しながら家庭を築いていきたいという若者が増えている印象です」(越智さん)

 それぞれの世代が、先輩たちの背中を追いかけ、時に反面教師としながら、自分らしい働き方の模索を続けている。ただ、今回の取材でよく耳にしたのは、

「上の世代のおかげで産休、育休などさまざまな制度が整ってきた」という言葉だ。『「育休世代」のジレンマ』の著者でジャーナリストの中野円佳さんは、こう話す。

「世代を超えて、互いの理解が進んでいることを感じます。上の世代が下に向かって『甘いわよ』と言ってしまうようなことはなく、『下の世代には同じ思いをしてほしくない』と考える人が多くいる」

 例えば、21年2月、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の会長だった森喜朗氏(85)が「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります。私どもの組織委員会に女性はいるが皆さん、わきまえておられて」と発言した、いわゆる森発言問題。50~60代の均等法世代の女性たちが「男性とともに働く中で、言うべきことを言ってこなかったのが悪かった」「わきまえてしまったこともあったが、もうわきまえない」などと発信したのだ。

「女性が働きやすい社会に向けて一致団結して取り組んでいる空気があります」(中野さん)

 そうやって、時代が進んだその先に、誰もがより働きやすい社会がやってくると信じたい。(編集部・古田真梨子、井上有紀子)

AERA 2023年3月13日号より抜粋

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