
結果的には宮沢氏の、「日本人というのは、自分の体に合った服を作るのが下手で、安全保障を主体的に構築しようとして、勝ち目がまったくない太平洋戦争に突入してしまった。だから、安全保障を全面的に米国に委ねることにしたのだ」という解説に納得した。西山氏による報道はその大論争の最中に起きたのである。
繰り返しになるが、西山氏の快挙を報じなかったことを大いに後悔している。
それにしても、西山氏の快挙が有罪になるとは夢にも思っていなかった。西山氏は外務省の女性事務官を通じて電信文を入手したのだが、これが秘密漏洩(ろうえい)の教唆にあたるとして国家公務員法違反容疑で72年4月に逮捕された。多くのマスメディアは西山氏と女性事務官との関係をスキャンダラスに報じた。
もっとも、西山氏が亡くなる前に評論家の佐高信氏が、西山氏から出来事の一部始終を聞いて、『西山太吉 最後の告白』として出版している。その本を読むと、西山氏が正義感に燃えていたことがよくわかる。
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
※週刊朝日 2023年3月17日号